丸投げと分離発注

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材料の問題と並んで、職人の手間賃も大きな問題です。たとえば大手ハウスメーカーで家を 建てる場合、ハウスメーヵーが用意するのは均質の材料と技術マニュアルですが、一番大事な 調達要因は、何といっても現場で働く職人です。それら労働力と技能を、メーカーはどのよう に調達しているのであるのか。 基本的に二種類のやり方があります。 一つは丸投げ方式です。○○県は△△工務店、□口県は◇◇建設という具合に、看板はハウ スメーカーですが、実働部隊は名前が出てこない地域工務店が請け負っています。下請け工務 店も自らの利益を確保しなくてはなりませんから、建築費にはハウスメーヵーの利益と合わせ て、二重の利益が乗せられることになります。こうした方法は、割合よく知られています。 二つ目はちょっと複雑です。分離発注方式といって、下請け工務店を使わないで、直接その 下の職人に発注する方式です。消費者にとっては、下請け工務店の利益がない分、こちらなら 安くなると思いがちですが、それもまた違います。じっは職人は、そのハウスメーヵーの関連 社から、メーカーの言い値ですべての材料を買わされるのです。買わない職人は、使っても会社から、勤 らえません。 そうやってメーカーは余剰人員の出向先など一雇用を確保し、自分たちだけで利益のキャッチ ボールをしています。当然、そこには「お客様のために安く資材を仕入れる」という発想はま ったくありません。この方式だとメーカー、関連会社、職人の利益が、それぞれ住宅の最終価 格に乗せられます。消費者は、ここでも高い買い物をすることになります。

ハウスメーカーの悪口を

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私は決して、ハウスメーカーの悪口をいいたくて、こんなことを書き連ねているのではあり ません。それでも、「裏でこんなに利益が乗せられているのだ」と知らされれば、消費者は、 憤繊やる方ないでしょう。そうした消費者の怒りに対し、つくり手はいつの間にか鈍感になっ ています。言葉で「お客様主義」をうたいながら、心はあらぬ方向を向いてしまっている。そ こが一番の問題だと、声を大きくして言いたいわけ。 フランチャイズ加盟店のやり方は丸投げ方式に近く、単独の地域工務店のやり方は後者の分 離発注方式に類似します。工務店といっても、大きい会社から小さい会社まで、いろいろな規 模があります。地域に根を下ろしているそれなりの規模の工務店は、地域ではけつこう大きな 影響力をもちます。ただ関連会社をもたないので、問屋、商社、販売店を経由して材料を購入 するという違いだけで、そこにはやはり、ハウスメーカーと同じような癒着の構造があるので す。